院内のコミュニケーションミスとは
これは医療従事者だけの問題ではありません。あらゆる企業や団体で発生していることです。
従来は、同じような教育レベルと、考え方をもった人は企業に就職をして働いていました。その結果、よく言われる“あ・うん”の呼吸がスタッフ間で存在していました。
しかし、現在は、企業内でも、今まで考えられなかった人たちが働いています。
正社員、契約社員、派遣社員、外国人労働者といったあらゆる経歴とレベルの人がはたらいているために、“あ・うん”の呼吸が通用しなくなっています。
医療機関は一般の企業と違って、入職する前には必ず各専門の分野の学校を卒業しています。ですからある程度共通の価値観を持っているはずです。
しかし、医療機関においても同様な問題が起こっています。特に組織が大きくなればなるほどその傾向は大きいです。
ただでさえ、専門家集団であるが故に組織間伝達が困難な上に、若いスタッフとの価値観のずれによるコミュニケーションの隔絶が発生しています。その結果、同一病院としての整合性が取れていない事態が発生します。
確かに従来の病院と患者の関係は、前述したように、一方的に疾病を治すという関係でしたが、現在は、情報を提供し、その提供方法も患者が理解しやすいようにしなければなりません。医師や看護師の仕事は大きく変化しています。
つまり、疾病を治療すると言うだけでは、その義務の半分しか果たしていないのです。ビジネスパーソンとしての側面も必要になるのです。
同時に病院も、職員としての医師や看護師に整合性をもたさなければなりません。あの医師とこの医師の対応が違う、と言うことは、病院としての信頼性を疑われることになります。